マロン君、やすらかに。
最初から、白内障でした。
小林さんにマロンについてお聞きしたのは
随分以前のことです。
きっと、
最初から、目が見えないようだった。
との意味合いだと思います。
マロンは老犬の多い(最も古くから現地にいる犬たち)
K地区で長い間、
あるいはぼんやりとした視界で生きてきたのだと思います。
季節の移ろいと共に表情を変える山々の景色。
やわらかな春の陽射しと共に、産声をあげる木々の新芽。
心地よい爽やかな風に揺れる、美しい新緑の葉。
真夏の太陽を遮るように覆い茂った幾重にも重なる枝葉。
そして、秋の訪れと共に赤や黄色に紅葉する山の精霊たち。
大地を豊かにと、落ち葉たちを恵み樹形あらわな冬の樹々たち。
マロン、
あなたはそのうつりゆく木々の姿を、葉の表情を
その両の目で見ていたのでしょうか。
写真は、昨日ぶちの会さまよりお送りいただきました。
日付は2010年7月21日と印字されています。
一年前のマロン君です。
瞳には白い幕が張り、目の前の視界を遮っているのでしょう。
小林さんのメールでは、死因は腹水症とのご報告でした。
苦しかったマロン君、もぉ…楽になりましたか。
小林さんのご報告ではオスとなっていますが、
学生さんのHPでは♀と表記されている為、
性別はどちらなのだろうと思いました。
なので、今年になって、
青芳君から送って頂いた「固体識別データー」では
【マロン♂】と記載されていましたので、
「♂」としてマロン君とすることにしました。
マロンはきっとおとなしく手のかからない犬だったのだと思います。
皮肉にも、おとなしいがゆえに、
山梨現地では存在感の無さを物語っているようで、哀しいです。
ぶちの会さまのお話によりますと、
犬たちが随分静かになったと感じておられるようです。
それだけ、彼らの日々は「老い」への速度を増しているのだと思います。
本来ならば、老いは自然の摂理として受け止め、
感傷に浸るべきではないのかもしれません。
けれど、
山梨wankoの訃報は、なぜこんなにも心痛みつらく切なく哀しいのでしょう。
マロン君の白く濁った二つの瞳は
まるで人間を拒絶しながら
マロン自身が、周囲に見えない鉄格子を張り巡らせているかのように
感じてしまいます。
私自身も気がつくと、目に見えない有刺鉄線を四方に張っている時があります。
人はみな孤独だとも感じます。
だけど、
私たちには、言葉があり感情を表現する(ぶつける)自由もあります。
溢れる情報を元に、自分の悩みや苦痛を緩和することも知っています。
淋しい時は誰かと会話も出来るし、文字でコミュニケーションを図ることも
いつでもどこでも可能です。
随分、恵まれた生きものであると思います。
その一方で、
尻尾を振ることでしか喜びや愛情を表現できない生きものがいます。
嬉しさのあまり感極まり、吠え声をあげたとしても、
うるさい!と怒鳴られることもあるかもしれない。
身体のどこかが痛くて唸り声をあげているのだとしても、
懐かない!可愛げがない!と背をむけられることもあるかもしれない。
そんな時、どぉすればいいのでしょう?どんなふうに訴えればいいのでしょう?
そんな時、彼らは自分の殻に閉じこもりじっと耐えるしかないのでしょうか。
せめて向き合う人間が、その瞳をやさしく見つめ
心の声で話しかけ続けることで、
少しは頑なな心に少しずつ雪解けをもたらす、そんなふうに思います。
様々な事情があるとしても、
一度家族として迎え入れた犬というすばらしい生きものに
山梨wankoたちが受けた「生涯の傷である裏切り」を
与えないで欲しいと願います。絶対に裏切らない欲しいと願います。
心から願います。
マロン君の写真を見つめ感じた孤独感へ想いを馳せ
書かせて頂きましたので、場違いな内容になっているかもしれません。
すみません。。。
人間の勝手な感情に振り回され、挙句、
生を絶たれる為、苦痛の最期を迎えなければいけない
多くの命たちへ哀悼の意を捧げたいと思います。
いつの日か、殺処分などという言葉が死語になることを切願しながら
マロン君への追悼記事とさせて頂きたいと思います。
支離滅裂な文章を最後までお読み下さり
ありがとうございました。
お星さまになったマロン君のご冥福を
心よりお祈り致します。
マロン君、長い間おつかれさまでした。
どうぞ、やすらかに眠ってくださいね。
マロン君の旅立ちによりまして
現在の全頭数は54頭です。
K地区24頭、N地区28頭、預かり2頭 です。